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記憶に刻み込まれた銀座の美容室案件

ユニオンテックは、これまで4000件を超える施工を手がけてきました。

そのどれもが、現在のユニオンテックを支えている貴重な案件ですが、いまでも忘れられない案件がいくつかあります。

その一つが、「ユニオンテックのすべて」の第11回で取り上げた自由が丘のエステサロン。今回は、そのエステサロンに勝るとも劣らず、私の脳裏に深く刻まれた案件についてお話したいと思います。

あれは2010年のこと。知己の税理士の先生から、業績を順調に伸ばしている美容室チェーンを紹介されました。今度、銀座に新しく店を出したいので、そのプレゼンに参加しないかという依頼です。

もちろん、断る理由などありません。勢いのある店舗の施工を手掛けられるなら、ユニオンテックとしても願ったりかなったり。私、大川祐介は、信頼できるデザイナーに声をかけてプレゼンに参加しました。

そのデザイナーとは、ほかでもありません。自由が丘のエステサロンのデザインを担当した敏腕のデザイナー。私が心から信頼しているデザイナーの一人です。

何が何でも受注したい イメージ

何が何でも受注したい

自由が丘のエステサロンの案件では、周囲からは実現不可能と言われた日程のなか、私とそのデザイナーはともに力を振り絞り、必死の思いで完成にこぎつけました。いってみれば、彼女は私にとって尊敬してやまない戦友のような存在です。

彼女が創りだす世界はいつも非常に美しく、洗練されていて、前例がない。こうしたデザイナーとともに一つの空間を創りあげるプロセスは私、大川祐介にとっては刺激的であり、魅力のあるものでした。

プレゼンに参加したのは、ユニオンテックを含め3社。私はデザイナーとともに、パースはもちろん、CGを始めとする豊富な資料を用意し、準備万端整えてプレゼンに臨みました。

何が何でも受注しようーー。その意気込みが功を奏し、プレゼンの席上で私は確かな手応えを得ました。

結果は、予想通り大成功。プレゼンの翌日に連絡が入り、ユニオンテックは見事に受注に至りました。

私がプレゼンで提示した金額は他社に比べ、圧倒的に高かったそうです。それにもかかわらず、私たちが受注できたその理由は、デザインへの高評価。そう、デザイナーの提案が高く評価されたのです。

ジャカルタに素材を探しに行く イメージ

ジャカルタに素材を探しに行く

受注が決定し、これから工事に入るというときに、オーナーから面白い提案がありました。「せっかくだから、海外に良い材料を調達に行かないか」という提案です。

日本にはない材料、見たこともないユニークな素材が海外にはあるのではないか。他に例がないような、唯一無二の店舗を作るのであれば、材料段階からこだわりたい。それが、先方の希望でした。

行く先はインドネシアのジャカルタ。

私、大川祐介も個人的に興味がありました。何より、クライアントのお誘いであり、提案ですから断るべくもない。デザイナーと私、そして、音響デザイナーの方も視察ツアーに参加し、急遽、5人でジャカルタに飛ぶことになったのです。

私にとってもジャカルタは初めての土地。はたしてどんな素材との出会いが待っているのか。わくわくしながら、2010年10月、ジャカルタに向けて飛びました。

面白い素材はどこにある!? イメージ

面白い素材はどこにある!?

ジャカルタは印象的な町でした。

都心部は非常に発展していますが、ちょっと足を伸ばすといきなり風景が一変。畑が広がります。子どもたちが素足で歩き回っている、のどかな一帯に変わります。

車で私たちを案内してくれたのは、インドネシア人の男性でした。そこに、我々5名と、現地のコーディネーターが加わり、7名で現地を動きまわりました。

目的は、日本にはない、インドネシアならではの素材探し。ガラスやタイルを探しまわり、3泊4日で計14ヶ所ほどを回ったでしょうか。

これは体力的にも実に厳しいスケジュールでした。

道はまったく舗装などされていません。ガタガタでボコボコ。高層ビルが立ち並ぶジャカルタ都心部が嘘のような光景です。

コーディネーターは現地に根を張っている方なので、町の事情や、どこにどんな素材を得意とする業者がいるのか、産地はどこなのかをよく知っていました。

しかし、どうしてもこれでなければ、という材料を見つけることはできなかった。ユニークな素材との出会いもなかった。

いや、はっきりいいましょう。収穫物がロクにない、非常に期待はずれのツアーだったのです。

成果はタイルにとどまらない イメージ

成果はタイルにとどまらない

しかし、せっかくインドネシアにやってきたのだから、何らかの成果は獲得したい。その思いは5人に共通でした。

では、私たちはそこで何を調達したのか。

シャンプーブースのRの部分に貼るためのタイルです。これは、唯一といえる面白い素材でした。国内のタイルにはない個性がありました。

私たちはそのタイルをジャカルタから取り寄せることにして、視察ツアーを終え、帰国の途につきました。いま思い出しても、キツイ旅でした。忙しいなか、時間を捻出して出掛けたにも関わらず、思うような成果が得られないもどかしさもありました。

とはいえ、妙な達成感があったことも事実です。素材を探しに海外に出かけたのは、後にも先にもこのときだけ。予算に余裕があり、時代も良かったのです。良い素材を見つけるために海外に出向く、という贅沢が許された最後の時代だったのかもしれません。

素材を探しながら辺境の地域を回る過程で、私は同行したメンバーといろいろな話を交わしました。デザインについて、建築について、美容室について。みな、それぞれの分野のプロフェッショナルですから話は尽きません。

施工のプロとして、私は大いに刺激を受けました。収穫はタイルだけだったものの、私、大川祐介にとってあのジャカルタツアーは、目に見えない財産として活きています。


関われてよかった!誇りに思える案件がある <後編>