会社宛の遺言書に法的効力はない

会社宛の遺言書に法的効力はない

 遺言書を作成しようと決意を固めて、まず私、大川祐介がやったこと。
 それは、保険金額を上げることです。会社受け取りの保険金額を増やしました。基本的にはいまとは変わらない体制で、何もしなくても1年、2年は皆が不安なく仕事を続けていくことのできる体制は整えたつもりです。
 さらに、かねてからつきあいのある保険のライフプランナーに相談し、弁護士を紹介してもらいました。遺言書や相続などを専門とする弁護士です。
 弁護士との面接では、会社のこと、個人のこと、じっくりとディスカッションを重ねました。いろいろな方法を教えてもらいました。
 相談して初めてわかったのですが、遺言書というものは個人に限定され、会社宛てに残したとしても何ら効力はありません。
 たとえば、私がユニオンテック宛に「自分が死んだ後、会社をこうしてほしい。事業はこんな風に続けてほしい」という遺言書を残したとしても、会社がそれに従う義務はない。私の遺言書通りにするかどうか、従うか否かは、取締役会や株主総会次第。私が遺言書を残しても、会社の意志を左右することなどできないのです。
次期社長と会社の運営方法は…?

次期社長と会社の運営方法は…?

 もちろん、私はユニオンテックの大株主なので、私の意志は重要なものとして位置づけられます。皆、私、大川祐介の意志を尊重はしてくれるでしょう。社長はこんな風に意志を残したんだと感じてくれるでしょう。
 しかし、その後どうするかの具体的な意志決定については、遺言書は一切介入できません。そのことを理解した上で、私、大川祐介は、遺言書の中で次期社長についても言及しています。誰にサポートしてほしいかという点についても触れています。
 誰を指名しているか? 
 それは秘密です。誰にも言っていません。
 もしかしたら、誰も指名せずに、「こういう方法で社長を決めてほしい」と書いているかもしれません(笑)。それも秘密です。
 会社をこういう風に運営してもらいたいという内容も書面にしました。先にも言った通り、この遺言書に法的な効力はありませんが、私が書いたという意味では、会社の中でそれなりの力はあるでしょう。先代が残した言葉をしっかりと受け止めてくれると思います。
会社を散開することだけはしてほしくない

会社を散開することだけはしてほしくない

 あとは、私の意志を受けて、皆がどう協議し、どのような行動を取るのか。
 それは残された社員の裁量です。皆の判断に任せたい。任せるに足りると思っています。
 ただひとつだけ、お願いがあるとすれば、会社を散開することだけはしてほしくないと思っています。
 私、大川祐介は時間をかけて、ここまで会社を育ててきました。みんなと切磋琢磨して、会社を成長させてきました。ユニオンテックに自分のすべてを注いできたといっても過言ではありません。
 だから、私がいなくなったからといって、会社がなくなってしまったり、散り散りになってしまう事態だけは避けてほしい。それが私、大川祐介の強い意志であり、希望です。
ユニオンテックは回っていく

ユニオンテックは回っていく

 しかし、そういうことはないでしょう。私、大川祐介がいなくなっても、会社は大丈夫。しっかりと存続し事業を続けてくれるだろうと楽観視しています。
 事業部ごとにまとまっているので、自分がいなくてもじゅうぶんにユニオンテックは回っていくはずです。
 良い人材も揃っています。私が会社を創業した頃と比べると信じられないくらい、人材採用が楽になりました。皆、ユニオンテックの一員として、着実に成長を遂げています。
新しくスタートしている事業を支える人材も入ってきています。
 規模が大きくなったとはいえ、まだまだユニオンテックは中小企業。安定だけを望んで入ってくるような人材はいません。大企業であれば、単に知名度や安定度に惹かれて入社を決める人もいるのでしょうが、ユニオンテックはまだそんなステージではありません。
 常に新たな展開を目指しています。業界を変えたいという目標を掲げ、業界のリーディングカンパニーを目指しています。そして社員は、貪欲に積極的に動くユニオンテックに魅力を感じて入ってきてくれたチャレンジスピリッツのある人材ばかりです。
 だから心配はしていない。
 ユニオンテックは、仮に私が明日、いなくなっても大丈夫。ふっとこの世から消えても大丈夫。そう信じています。
45才になる そのときには

45才で引退するそのときには

 私、大川祐介は、45才を目処に事業を継承できる次期社長をしっかりと定めるつもりです。
 後継者をどうするか。
 よそからいきなり持ってくるようなことはありません。自分の後継者は会社の中で育てていく。ユニオンテックにいる誰もが後継者となり得るチャンスがあるのです。
 私は輪廻転生は信じていません。人間は死んだら終わり、無に帰すのだと考えています。三途の川もない。死ぬそのときに意識がなくなり、ゼロになるだけです。
 だから、死んでしまった後にユニオンテックがどんな風になるのかを知るすべはありません。幽霊になって見守ることもない(笑)。
 それでも--。ユニオンテックはユニオンテックらしくあってほしい。営々と事業を続けてほしい。できれば成長を続けてほしい。皆がその期待に応えてくれることを信じてやみません。