一旦のペンディングを経て

一旦のペンディングを経て

 研修旅行の行き先は、当初、イタリア、オーストラリア、国内の3つに決定しました。あとは飛び立つだけ、のはずでしたが、パリでテロ事件が起きたため、一旦ペンディングしました。
 社員には家族がいます。私は、家族から社員を預かっている立場です。
 社会情勢が落ち着かず、危険が増している中で、研修旅行を強行することなどできない。無理はできません。私、大川祐介はそう判断しました。
 いまは、行動するときではなく、「見(けん)」の時期。状況を見ながらタイミングをはかって、次に行動するべきタイミングを待つ段階だと考えたのです。
 とはいえ、研修旅行自体を中止したわけではありません。落ち着いた頃合いを見て、必ず実現させたいと考えていました。
 そして、2016年の4月・5月。いよいよ研修旅行を実施しました。イタリア、オーストラリアの目的地を再考し、バルセロナとニューヨークに変更した上で、希望を募り、社員を3つの班に分けました。
 そしてまず第1弾から国内旅行へと出かけ、第2弾はバルセロナへ、第3弾はニューヨークへと研修旅行に出掛けたのです。
国内コースを設けた理由

国内コースを設けた理由

 なぜ、国内コースを設けたのかと疑問に思われる方も多いかもしれません。  ユニオンテックの社員数もいまでは約100人近くにまで膨れ上がりました。中には、飛行機が苦手で海外には行きたくないという人もいます。家族の都合で、日本を離れられないという人もいるでしょう。あるいは、テロなど不穏な事態が多い海外に行くことを躊躇する人がいないとも限りません。  そうした人のためにも、国内という選択肢を確保しておくことが必要だと、私、大川祐介は考えました。  現実には国内コースを選んだ社員は、バルセロナやニューヨークと比べると少数派ではありましたが、大阪・京都・神戸・姫路と周り、有意義な学びを得たようです。  同じ日本とはいえ、関西と東京とでは文化的にも経済面でもさまざまな違いがあります。国内研修旅行に出掛けた社員は、京都の清水寺、姫路の世界遺産・姫路城といった日本を代表する歴史的建造物を見学し、日本の建築技術の素晴らしさに触れて帰ってきました。
バルセロナで感動の嵐に包まれた

バルセロナで感動の嵐に包まれた

 3つのコースの中でもっとも感嘆の声が大きかったのは、スペイン・バルセロナへ出掛けた一同です。
 サグラダ・ファミリアに足を踏み入れた瞬間、感動のあまり、泣いてしまった社員もいます。グエル公園もよかったけれど、サグラダ・ファミリアのインパクトは半端無かった。そう興奮して語る社員もいました。
 やはり仕事柄なのでしょう。サグラダ・ファミリアの見方が違うんですね。視点が非常にマニアック。常日頃、空間創造の仕事をしているから、サグラダ・ファミリアを完成させるのになぜ膨大な時間が必要なのかがよくわかってしまう。特に、CM(コンストラクタマネジメント)の業務に携わっている面々は、感動が大きかったようです。
 しかしながら、こんな風にサグラダ・ファミリアを語っている私、大川祐介は実はまだ一度もバルセロナに行ったことはありません(笑)。バルセロナ、それからエジプトは人生で一番行ってみたい場所なのですが、果たしていつ行ける日が来るのか…。
ニューヨークで働いてみたい

ニューヨークで働いてみたい

 ニューヨークに出掛けた一同も同様に、みな刺激を受けて帰って来ました。
 ブロードウェイ、ウォール街、NY証券取引所、そしてグラウンドゼロ。さまざまな人種が入り交じる多様性の都市に身を置き、「この街で働いてみたいと思った」と語る社員もいました。世界の最先端を行く街・ニューヨークのパワーとエネルギーに包まれ、感性が磨かれたという声も聞きました。
 研修旅行の報告を受けて、私、大川祐介が痛感したのは、素晴らしい建築物を間近で見ることの重要性です。風景や景色は、画像で見ても実際にこの目で見ても、そんなに大きな違いは感じられません。
 でも、建築物は違います。スケール感は画像ではつかめません。その空間が持つインパクトはそこに実際に足を運んでみなければわからない。空間創造の仕事をしている人間は、意識してさまざまな建築物を自分の目で見る体験を重ねていく必要があると感じています。
コミュニケーションを深める機会に

コミュニケーションを深める機会に

 今回の研修旅行では、現地での学びに加えて、コミュニケーションを目標に掲げました。
 現地で何を見て、何を学ぶかだけではなく、旅行全体を通して、異なる部署や立場の異なる社員とのコミュニケーションを深めてほしいと考えたからです。
 今期、私、大川祐介はテーマとして「連携と結束」を打ち出しています。「連携と結束」のためには、円滑で深いコミュニケーションが欠かせません。
 現場では、社員がコミュニケーションを盛んに取り、結束して仕事を進める機会はいくつもあります。そうしなければ、仕事をスムーズに進めていくことはできません。しかし、現場以外でもコミュニケーションをもっと活発に行い、互いの理解を深め、事業部間で連携し結束してほしいと考えました。
 果たして研修旅行で社員がどう変わったのか。3泊ほどの短い時間ですから、研修旅行を機に大きな変化が生まれるとは思っていません。それでも、彼ら彼女たちはこれからの仕事につながる何かを感じ、何かをつかんでくれたはずです。いつもとは異なるコミュニケーションの機会を得たはずです。
 こうした経験は必ず血となり肉となる。毎年、研修旅行を実施することはできませんが、学びとコミュニケーションの機会はこれからも積極的に提供していきたいと思います。