「設計から施工までをワンストップで提供」の嘘

「設計から施工までをワンストップで提供」の嘘

 言うまでもないことですが、店舗やオフィスなどの空間は設計施工が両方揃って、はじめて完成します。どちらが欠けても実現しません。
 建設業界には、設計だけの会社もあれば、施工だけの会社もある。ユニオンテックのように設計から施工までを一貫して行っている会社もある。会社によって機能はそれぞれです。
 問題は、「施工もできます」といって営業しながら、その実、設計の機能しか備えていない会社が数多く存在することです。
 もし、「施工については当社にはその機能がないので、信頼できる施工会社に依頼します」ときちんとうたっているのであれば、それはまったく問題ありません。お客様も施工が協力会社に出されることを理解した上で発注をするのですから、私、大川祐介がとやかく言うような話ではありません。
 しかし、実態はそうではない。
 施工機能がなく、影で協力会社に丸投げしているにもかかわらず、設計から施工までをワンストップで手がけますと「嘘」をついている業者が多いのです。これを詐欺行為と言わず、何と言えばいいのでしょうか。
施工責任はどこにある?

施工責任はどこにある?

 そうした会社は、お客様の知らないところで、ユニオンテックのような施工部門のある会社に仕事を発注しています。当たり前です。自分たちではできないのですから。
 しかし、考えてもみてください。
 この場合、施工責任はどこにあると思いますか?
 施工責任は元請けにあるのが本来ですが、「施工ができます」といって現実には外注に出しているケースでは、責任はいったいどこが持つのか。最終的に責任を負うのはどこなのでしょうか。極めて曖昧としています。
 何度でも繰り返しますが、どんなに見栄えがいい空間でも、安心安全が備わっていなければ何の価値もありません。安心安全とは、すべての空間が持っているべき基本的な機能です。本質です。
 この安心安全を形にしていくのは、施工会社にほかなりません。にも関わらず、施工ができるといいつつ、実際にはその機能がないという会社は、施工を単なる付加価値としてしかとらえていません。施工を、デザインに伴う付加価値としか考えていません。そして、デザインに施工という付加価値をプラスし、ワンストップで提供することが顧客サービスだと考えているのです。
施工は付加価値ではない

施工は付加価値ではない

 これは大いなる誤りです。
 施工は単なる付加価値などでは断じてありません。
 安心安全は誰が守るのか。誰が作るのか。誰が形にするのか。
 施工を担う職人です。技術を持った職人です。
 職人によって安心安全が担保され、空間は空間として初めてお客様に提供できるものになる。
 それを、単なる「付加価値」としか見なさないのは論外です。職人が「作れない」と言ったら、空間づくりはそこで終わり。作りようがないことをまったく理解していません。
 こんな情けない事態が建設業界には蔓延しています。もちろんすべての会社ではありません。施工を重視し、施工を熟知した上で、しっかりとした体制を敷いている会社もありますが、残念ながらそうでない会社も多い。
 私、大川祐介はこの現実が悔しくてなりません。強い憤りを覚えます。
現状の仕組みに問題点あり

現状の仕組みに問題点あり

 こうした状況を知っていながら放置している国の体制にも問題があります。
 現実には施工をしていない会社、できない会社がなぜ「施工もやれます」といって仕事を受注できるのか。何よりおかしいのはこの仕組みではないでしょうか。
 施工に関するそれなりの技術力がなければ受注できないのが本来の姿です。そうあるべきです。安心安全が確保されていない空間は人命に関わります。見てくれが良ければそれで良しではないのです。
 こうした仕組みが放置されていることで、施工一本で技術を提供している会社が、営業力だけはある会社に仕事を取られる事態が多発しています。実際には施工ができないのに「できます」といって、影で仕事を丸投げするような会社に仕事を奪われてしまっている。これが建設業界の実態なのです。
 こんな状態が続けば、建設業界はお客様の信頼を失ってしまうでしょう。建設業界を志す若者も、外見がすべてだとさらに勘違いしてしまうでしょう。
 建設業界は、本来、泥臭いモノづくりの世界です。技術的なベースが軽視されるような業界には発展はありません。
いまこそ本質を見よ

いまこそ本質を見よ

 自分たちが作ってもいない商品を、さも自分たちの商品のようにして売るのは、人をだます行為以外の何物でもありません。
 建設業界の本質をなめている会社が多すぎる――。現状の業界への問題意識が、私、大川祐介がチームサスティナを立ち上げた原動力でもあります。
 建設業界の平均労働賃金は300数十万にすぎません。建設業界以外の平均が500万円代ですから、建設業は明らかに下。平均を押し下げている業界の一つです。
 しかし、それでいいはずがない。我々の日々の暮らしや仕事。すべての場面において建設業界の力は欠かせません。建設業は過去も現在も、そして未来も、日本に、いや世界になくてはならない業界です。
 その業界を根底から、根本から支えている職人たち、安心安全を現場で形作る技術者たちはもっと評価されるべきであり、評価していくべきなのです。
 とはいえ、現実を変えるのは容易ではありません。現実には、設計施工を一括受注しながら、バックで我々のような内装施工部門のある会社に仕事を外注し、空間づくりをしている企業がたくさんあります。職人の技は軽視され続け、賃金はなかなか上がりません。
 でも、アクションを起こさなければ結局何も変わらない。
 だから、私、大川祐介はチームサスティナを始めました。建設業界で働くすべての人に誇りを持って仕事をしてもらいと考えるからです。
 また、ことあるごとに、職人の重要性を、モノづくりの現場の大切さを社員にも語っています。上辺だけ取り繕っても、本質が伴わなければ物事は崩壊します。建設業界も例外ではありません。
 今こそ空間づくりに携わるすべての人に強く伝えたい。
 本質を見よ。建設業界の本質とは安心安全の確保である――と。