社員の心に響かない…

社員の心に響かない…

 会社の方向性に疑問を持つ社員が増えてきたこと。チームサスティナの重要性や意義について真に理解している社員が多くないこと。私、大川祐介はその気配を察していました。状況をなんとなくつかんではいました。
 だからこそ、早朝に理念の会を開いたり、ギャップをなんとか埋めようとディスカッションを試みたりしたのです。でも、正直、効果は薄かったと言わざるを得ません。
 話をしても、社員の心にあまり響いていないのではないか。そう感じるシーンが何度もありました。
 私がチームサスティナを立ち上げたのは、いま建設業界を変革しなければダメだと確信しているからです。目先のこと、自分たちの会社のことを考えるのはもちろんですが、いま自分たちがいる場所——建設業界——を良くしなければ、我々にも未来はない。明るい将来は描けないと考えました。
 チームサスティナが目指しているのは、「未来」です。建設業界の「これから」です。業界のために、協力会社さんのために、お客様のために、そして社員のためにやっている。すべてのステークホルダーを底上げしていくためにやっています。
 しかし、この認識を社員としっかり共有することができませんでした。共有できている社員もいましたが、そうでない社員もいた。彼らは、業界云々よりもまずは自分たちの会社を良くしなければダメだ、それが先決だと考えていたようです。
問題を解決せずに、ただフォローした結果

問題を解決せずに、ただフォローした結果

 会社の方向性に疑問を持つ社員に厳しくあたれない管理職、そして管理職の上に立つトップの私にも問題がありました。
 管理職は本来、私、大川祐介と同じ方向を向いた上で、部下を指導する立場です。社長の私と方向性を共有し、部下をマネジメントしていくポジションです。
 しかし、その一方で有無を言わさず現場を動かしていかなければなりません。仕事を滞らせないために、とにかく部下には動いてもらう必要があります。
 そのため、管理職は部下が不満を持っているのをわかっていながら、それを完全に受け止めることもなく、かといって問題を解消することもなく、問題をそのままにしたまま彼らをフォローしていました。
 そうなると、部下が「上司がフォローしてくれるのだから、自分たちの考えは間違っていない」と解釈するのも当然でしょう。現場優先で問題を先送りにした結果、会社に不満を持つ社員の心情は、他の社員にも伝染していきました。まさに負のスパイラルです。
 これには私にも大いなる責任があります。管理職に本来の役割、本来の使命をしっかりと伝えられていなかった。管理職の肩にかかる責任の大きさを理解した上で、どのように部下を束ねていくべきなのかをきっちりと浸透させることができなかった。これは私の今後の課題でもあります。
本当にこのままで大丈夫なのか

本当にこのままで大丈夫なのか

 チームサスティナはまだ本格稼働はしていないため、サービスとしては成り立っていません。現在はさまざまなコストがかかっているだけで、利益がついてくるのはこれからです。
 そのため、空間づくりに携わっている社員の中には、「チームサスティナさえなければ、会社はもっと儲かっているのに」「もっと利益が上がっているのに」とみる人もいました。
 社長が目指している先はわかってくれても、チームサスティナ事業が生み出す効果をリアリティをもって実感できなかったのでしょう。形になって実際に動き出さないと、チームサスティナの本当の意義を理解できなかったのかもしれません。
 私、大川祐介は、リアリティが出るように数字を明確にし、コンテンツ制作の過程をみなに伝えたつもりでしたが、それは十分ではなかったようです。「まだスタートしていないし、本当にこのままで大丈夫なのか」という不安が生まれてしまいました。
 「ユニオンテックはチームサスティナで何をやろうとしているのか」「大丈夫なのか」という外部の第三者の声も社員の負の感情に拍車をかけました。外部から発せられる意見を聞いて、より不安が高まってしまったんですね。そうして「やっぱりダメだ」「このままじゃ不安だ」というネガティブな連鎖が生まれていきました。
災い転じて福となす

災い転じて福となす

 結局、多くの社員がユニオンテックを去っていきましたが、私、大川祐介は意外なほど、さっぱりとしています。吹っ切れた気持ちです。
 なぜか?
 私の意志、私の目指すところを理解し、「一緒にやっていきたい」と強く思い、行動する人たちが残ってくれたからです。彼ら彼女たちのスタンスや思いを再確認できたからです。こんなにありがたいことはありません。
 ユニオンテックの経営理念は、「最先端の洗練された知識・技術・サービスを結合し、地域社会の中で「ありがとう」をたくさん集められる環境創造企業を目指す」。この経営理念を形にするために、私、大川祐介は走り続けてきました。チームサスティナを推進してきました。私の方針にブレは一切ありません。
 その私といっしょに走ってくれるメンバーが揃ったのです。同じ思いで、同じ方向を見据えて走りつけてくれるメンバーが集まっているのです。こんなに力強い体制はありません。
災い転じて福となす

災い転じて福となす

 ユニオンテックがいま臨んでいる新しいステージを前にして、これだけ大量に退職者が出てしまうとは、私、大川祐介は考えてもいませんでした。
 ただし、どこかで予想はしていたような気もします。会社が大きくなり、従業員が増え、本社オフィスを移し、まったく新しい事業を立ち上げて推進しています。新しい領域に足を踏み入れ、しかも変化のスピードが極めて早い。どこかで「無理」が生じて、遅かれ早かれ「歪み」が表面化してくるかもしれないと、無意識のうちにもこのような予測はありました。
 そして、実際に「歪み」が噴火してしまったわけですが、起きてしまった以上、私、大川祐介は後ろを振り返ることはしません。
 人事評価制度の運用や管理職の教育などを始めとして改善点はたくさんあります。メスを入れ、解決していかなければならない問題点はいくつもあります。
 しかし、進むべき方向は決まっています。そのために必要な力強い仲間の存在を、確認することができました。そして、確固たる体制が実現しました。
 高くジャンプする前には誰しも必ず低くしゃがまなければなりません。今回の一件は、ユニオンテックのさらなる飛躍のためには必要だった。不可欠だった。そう思います。
 災い転じて福となす。必ずそうしてみせます。