【経営者インタビュー】代表取締役社長・大川祐介「“馬鹿“と言われることを恐れない」〜ミッション『BUILD A NEW STANDARD.』に込めた思い〜 | 社内レポート | 採用情報 | ユニオンテック株式会社


 経営者インタビュー 代表取締役社長 大川祐介

「“馬鹿“と言われることを恐れない」〜ミッション『BUILD A NEW STANDARD.』に込めた思い〜


各企業が、使命や社会的意義を示すべく定めている“ミッション”。ユニオンテックにも「BUILD A NEW STANDARD.(新しいあたりまえをつくる)」というミッションがあり、これを果たすために必要なスタンスをバリューとして定めています。また、ミッションやバリューを如実に体現した社員を表彰し、お互いに学び合う場として、半期に一度の「アワード」と呼ばれる全社イベントを実施するなど、理念の浸透に力を入れています。
では、そもそもユニオンテックのこのミッションはどういった経緯で生まれたのでしょうか? 創業者であり、現・代表取締役社長でもある大川祐介へのインタビューを通じ、その経営思想とユニオンテックの源流をたどることができました。

TOPICS

● 業界の開拓者になるため、ミッション刷新
● 大川が建設業界全体に向き合うようになるまで
● 僕らのやり方が、いたるところで真似されている未来
● ユニオンテックのストーリーを楽しく描いていきたい


業界の開拓者になるため、ミッションを刷新


―― 現在のミッションは、2021年にプラットフォーム事業の分社化を行ったあとで刷新しているそうですね。なぜ企業の存在意義とも言える「ミッション」を変えたのか、経緯を教えてください。
以前は建設事業とIT領域のプラットフォーム事業の2つを主業として動かしていましたが、分社化をしたことで目指していた世界観が変わったことがミッション刷新に至った大きな理由です。やりたいことは同じですが、事業に変化があると会社の存在意義もアプローチも大きく変わるもの。なので、改めて定義するべきだと考えました。

ちなみに、以前のミッションは「世界一、魅力的な業界を作る」。当時代表をやっていた韓(英志)と議論しながら作ったんですが、僕の中の位置づけとしてはミッションであると同時にビジョン(目指すべき理想像)でもあったんです。それもあって、このタイミングで“ユニオンテックの社会的な存在意義”を、きちんとミッションに落とし込みたいという思いもありました。

―― そうして掲げたのが、「BUILD A NEW STANDARD.」。
新しい、見たことのない世界や価値観をつくりに行くというような形式の言葉にはしたいんだけど、どんな言い方がしっくり来るだろう?と、当時の役員全員で頭をひねった覚えがあります。ワードの整理も含めて、今の文言にたどり着くまでには1年弱と結構な時間を要しましたね。
今回のミッションは、「ユニオンテックはどうすれば永続的に存在価値のある会社だと示せるのか」の答えだと思っています。新しいスタンダードを作るということは、その手前にある可能性を探るようになる。それを常に率先してやる会社になれば、業界の開拓者になれると思うんですよ。僕の中では、特攻隊長のようなイメージですね。ときにダメージをくらってしまうこともありますが、それでもいいからとにかく突っ込んでいく。そうして一次情報を手に入れて、新しい道を切り開いていくんです。 

―― とはいえ、かなりリスクが高いですよね。 
それでいいんです。世の中にはリスクを避けたい会社さんが多くあるでしょうから、「ユニオンテックが成功した事例は、うちも真似しよう」、「あの事例は失敗したから真似しないようにしよう」と、僕らを参考にしてくれるはず。そうして、それを長く続けていれば業界全体の成功率が高まって、生産性やユーザーへの提供価値がグンと上がると思うんです。なので、どんどん真似をしてほしいですね。実際、すでに多くの会社さんから真似される側になってきていると思いますが、もっともっと真似されたいです。


大川が建設業界全体に向き合うようになるまで


―― 「業界を良くしたい」「真似されたい」といった思いは、創業当時から大川さんの中にあったものなのでしょうか?
いえ、そんなことはないですね。創業したばかりの頃は稼ぎたい一心でした。そもそも建設業は、すごく閉鎖的な業界なんです。発注者は“いつもの取引先”に依頼するのが当たり前で、新参者が入りづらい。創業当初は、お客様から100円の案件をもらうことすら苦労していたので、案件をもらえたら確実に良いものを提供するクオリティマシンと化し、お客様に信頼してもらうことを最優先にしていました。そうして着実に稼いでいかなければというのが当時の僕のテーマだったんです。

―― 苦労を感じるエピソードですね…。 
それからは何年もクオリティ重視で働いていて、お客様からの評価も売上も順調に上がっていったんですが、創業から6年ほど経った頃、従業員のKくんから「社長って、お客様のことばかりで従業員のことを全く考えていませんよね」と言われたんです。で、この言葉が僕にグサッと刺さったんですよ。なぜかというと、本当に考えていなかったから(笑)。

―― お客様が大事なのは当然ですけれど。
そう、会社はお客様がいないと存在できないし、利益も出ないですからね。なので僕は、お客様には尽くしてなんぼだと思っていましたが、だからといって従業員を放ったらかしにして良いというわけではないんですよね。実際、従業員との関係が希薄だと僕の言葉が彼らに響かなくなり、全体の意識が下がってしまいました。
そこで、「従業員に寄り添わなければ」と思い、毎日自分の仕事が終わってから従業員全員に電話して、終わる時間が一番遅い人を手伝うというルーティンを、1年間くらい続けました。「社長変わりましたね。こんなに現場の人間を手伝ってくれる社長、いないですよ」と、従業員から直接言ってもらえたときは、やってよかったなと思いましたね。なので、ステップ1ではお客様を、ステップ2ではお客様と従業員のことを考えられるようになったという感じで、ステップアップしているんです。そうして、3つ目のステップとなったのが、2015年。どんどん業績が伸びていくなかで、協力会社の職人さんや社長とじっくり話す機会が増えたんです。

―― 何かきっかけがあったのでしょうか?
というよりは、ここまでの積み重ねによるものでしょうね。僕は、二十歳だった2000年に起業したので2015年には35歳になっているんですが、創業当時からお世話になっている職人さんたちからすると、「この業界に15年もいて順調に業績を伸ばしている大川は、一体どんなことをしているんだろう?」と気になったみたいです。そんな皆さんから、「採用しようとしても人が来ない」、「元請けさんには最後に値引きされてしまう」、「従業員がお金を持ち逃げした」、「お客様からクレームがきて発注停止になった」というような、いろんな相談を受けはじめ、「大川ちゃんはどうやっているの?」と聞いてくれるようになりました。
実際に話してみると、話をした協力会社さんはどこも経営に関する愚痴と相談が多かったですね。で、次第に「うちの協力会社さんだけでもこれだけ愚痴が多いんだから、建設業界はどこも同じ状況なんじゃないか?」と危機感を憶えるようになりました。協力会社さんがいなくなると、僕らはクライアントに納品できなくなります。このままいけばユニオンテック自体も危うくなるんですよ。 

―― 悪循環ですね。業界にも悪い影響を与えてしまいそうです。
「経営がうまくいかない」、「倒産しそうだ」という深刻な話を聞くことも多かったですし、その実情は発注先を広げても変わりませんでしたね。その頃くらいから、「業界全体と向き合いたい」と思うようになりました。
僕自身は、かなり稼げるようになって大きな家も良い車も手に入れた時期だったんですが、一方で「自分の欲求を満たすだけでいいのか?」と疑問に思っていて。自分が本当にやりたいことを考え始めたんです。30代半ばでまだパワーがあるし、職人さんの気持ちも分かるし業界もよく知っている。そんな自分にできることは、業界全体に向けたことなんじゃないかと。それがステップ3です。

―― お客さんだけに向いていた目が、従業員にも協力会社にも向き、全方位を見られるようになったら、業界全体が目に入るようになったのですね。
そうして立ち上げたのが、マッチングプラットフォーム事業です。前に、いつも取引しているタイル屋さんが手一杯だったとき、社内のいろんな人に聞いて回って別のタイル屋さんを紹介してもらったことがあるんですが、そのタイル屋さんはいつも取引しているタイル屋さんから100メートルくらいしか離れていなかった、という出来事がありました。「なんで知らないの?」と思う人もいるでしょうけど、そのくらい同業他社を知らないのがこの業界なんですよね。なので、業界そのものをより良くするためのマッチングサービスにしたかった。結果的に失敗しましたが、これがステップ4ですね。気づけば、当たり前のように業界のことを考えるようになっていました。

―― だからこそ、業界全体を視野に入れたミッション「BUILD A NEW STANDARD.」が生まれたのですね。
僕は基本、馬鹿なんですよ。誰かに後ろ指をさされようが陰口を叩かれようが、自分が正しいと思ったことにはとことん突っ走れる馬鹿。失敗した施策はすぐにクローズしますが、掲げた志を下ろす気はありません。僕の志は、業界のために力を尽くすこと。それはもう決めています。 


僕らのやり方が、いたるところで真似されている未来


―― 「BUILD A NEW STANDARD.」をミッションとして掲げたことで、社内に変化は感じますか? 
感じますね。ミッションをもとにバリューを設定しましたし、評価制度を作ったり、アワードのような催し物を行ったりと会社でやるべき仕組みは作っているので。 

―― 従業員の皆さんの意識の変化も感じるでしょうか? 
正直なところ僕は従業員と少し距離があるので、一人ひとりの“点”話は聞いていても、それが“線”になり“面”になるとはっきりとは分かりません。ただ、特定の誰かを見たときに、「確実に実力が上がっているな」「転職して業務内容が変わったことで、新しい考えが生まれたな」と感じる瞬間はあります。

それは、その人の中に新しいスタンダードができたということなんでしょうね。あと、2023年末に行った24期上期アワードで『New Standard Award』を受賞したスペースコンストラクション事業部の金田(颯太)くんが、「僕は入社する前にアワードを観ていて、『いつかは自分も壇上に上がるんだ』と決めていた」と言っていたんです。そういう意識の従業員がいるということは、僕の心にも深く刺さりますね。そういう気持ちで来てくれるのなら、経営者として期待に応えなければいけないなと思います。

―― また、10年後や15年後のユニオンテックはどんな会社になっていてほしいと思いますか? 改めて教えてください。 
建設業界の人たちが常にアンテナを張って、ユニオンテックをリサーチしている状態になるといいですよね。そして、僕らのやり方が至るところで真似されているといい。そうならないと、僕らが「BUILD A NEW STANDARD.」を掲げている意味がないですから。
じゃあ、具体的にどんなことを真似してほしいの?と言うと、サービスや評価といった形の話になってしまってビジネスチックな話にしかならないので、ほんわかした青写真的な話をしますが…ユニオンテックがプレスリリースを出したら、みんながこぞって見に行き、「次はこんなことを始めたらしいよ」と業界で話題になるといいですよね。そこで「これは!」と思った人は真似るし、「今回は違うんじゃないか?」と反論する人もちゃんといる。そんな状態になるのが理想です。反論があるということは、それだけ注目されている証拠ですから。


ユニオンテックのストーリーを楽しく描いていきたい


―― では最後に。社長という立場にいる大川さんの使命は何だと考えていますか? 
社長は、単なる役割でしかないと思いますが、そのうえで社長の役割をシンプルに言うと、「投資の意思決定をすること」だけだと思っています。1円を使って5円にするのか、50円を使って100万にするのかの意思決定も社長だし、1時間を使って3時間分の価値を作り出すための意思決定も、お客さんの笑顔を増やすための意思決定も社長が決めます。本当にそこだけで、あとはやることがないんですよ。

ただ、会社にとって良い決断をしなければいけないので、その会社に合った“物差し”でちゃんと測らなければいけないし、物差し自体を常に磨いていなければいけないとは思います。例えば、経営者として「人を大事にしたい」と思っているなら、人のことを考えられる物差しを持つべきだなと。
僕は、やりたくてたまらないことはやるようにしています。その結果失敗してしまうこともあります。「大川さん、何でやったんですか?」と責められることもありますが、失敗は次の成功を作るため絶対に必要。そのため意図的に失敗するという馬鹿な選択をする場合もあるので、責められて当然かもしれませんけどね(笑)。 

―― 失敗したくない人からすると、恐怖かもしれないですね。
そりゃあ、なるべく失敗しないほうがいいに決まっていますよ? でも、失敗があるからストーリーになるんです。ユニオンテックは、2016年に大量のITサービスを立ち上げたり、人材を他業種から大勢入れてガチャガチャやって失敗したり、分社化して業績が傾いてものすごく苦しんでいたところから立ち上がったり…といったストーリーがあります。はたから見れば馬鹿なことに見えるかもしれませんが、僕からするとその繰り返しから猛烈に学び続け、今のユニオンテックに確実に活きているはずなんです。だから、ユニオンテックのストーリーに無駄なことはひとつもありません。
僕は、さまざまな決定をくだす社長という立場として、ときには馬鹿になりながら今後も楽しくストーリーを描いていきたいと思っています。“楽しい”に勝るエネルギーはないですからね! なので、従業員のみんなにも「ちゃんと馬鹿になろうぜ!」と言いたいなと(笑)。踊る阿呆と見る阿呆なら、踊る側のほうがいいじゃないですか。僕がそっち側だから、同じスタンスの人のほうがユニオンテックには合っていると思いますし、楽しく働けると思いますよ。

カンパニーデックよりOur Challengeについて

いくつか紹介しますと、例えば現在プロジェクトの進行状況や粗利、受注率などに関する数字のほか、お客様の情報を一括で管理できる『CraftBoard(クラフトボード)』というシステムを社内で開発し、使っているんです。生産性を最大化するために日々現場の声を拾いながら開発を重ねていて、その結果、業務の中でお客様に対してバリューの出せる部分に使える時間を増やしていくことができています。

もう一つ、今ユニオンテックベトナム(子会社)で運営している『Pers GPT』は、建築CGパースの制作をワンクリックで発注できて、最速24時間以内に初稿が出てくるという圧倒的なスピードを誇るサービスです。私たちが日々お客様と対峙する中で、近年お客様の空間への期待が多様化してきたことを実感していて、コロナ禍を経てさらに”対面”や“リアル”の価値が高まったことで、空間デザインへの投資が圧倒的に増えました。そういったニーズに応えていくためには、自分たちが提案する空間のユニークさや品質を具体的な完成イメージで想像してもらい、顧客の意思決定をサポートする必要があるんですね。弊社においては、提案の段階で仕上がりイメージを精緻に確認することができる3DCGパースをフル活用しながらお客さまの期待に応えてきましたが、3DCGパースの制作には高いスキルや高額のPC、そしてソフトウェアが必要なため、同業を含めた業界全体で見た時に十分な品質のイメージを提供できず、お客様の期待に沿えないという課題を日々耳にしていました。

自分たちの業界内で顕在化しているCGパース制作の課題に対して、自社での成功体験をサービス化して提供することでより良い空間が世の中に増えていくのではないかという思いに至り、推進しているものです。昨年(2023年4月)立ち上げたばかりなんですが、今では建築CGパースを活用したことがない個人事業主の皆さんから、大手内装インテリア・広告代理店の方まで、業界業種・規模問わず多数のご依頼をいただくようになりました。オンラインサービスのため、日本から海外までなどエリア制約もないんです。これらはまさに、自分たちの基幹事業である内装事業で得てきたナレッジを使って、いかに競合他社も含めた建設・建築に携わるすべての人に還元していくかというチャレンジなんですよね。

一見無謀に見えて、「また馬鹿やってる」と思われるかもしれません。でも、(役員の)木村をはじめとした思いを具現化できるメンバーがいてくれてこそ、ちゃんとサービスとして設計され、社会貢献できるものへと進化を続けていくことができる。 僕は、さまざまな決定をくだす社長という立場として、ときには馬鹿になりながら今後も楽しくストーリーを描いていきたいと思っています。失敗を恐れて何もしなければゼロ。何かやってみて、それが無駄になることはないんです。チャレンジした結果の失敗が賞賛されるカルチャーでしか新しいものは生まれていかないと思っています。“楽しい”に勝るエネルギーはないですから、社員のみんなにも挑戦できることは楽しいと感じて欲しいですね。「ちゃんと馬鹿になろうぜ!」と言いたいなと(笑)。踊る阿呆と見る阿呆なら、踊る側のほうがいいじゃないですか。僕がそっち側だから、同じスタンスの人のほうがユニオンテックには合っていると思いますし、楽しく働けると思いますよ。   

 

  

 

Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto

採用募集・エントリー

JOIN US

ユニオンテックではひとりひとりの社員が快適に働くためのさまざまな仕組みや制度をご用意しています。

採用募集・エントリー