進化するワークスタイル、ユニオンテックが主導する次世代オフィス移転の裏側 〜人を動かすアートの力〜 | 社内レポート | 採用情報 | ユニオンテック株式会社


進化するワークスタイル、ユニオンテックが主導する次世代オフィス移転の裏側

〜後編『人を動かすアートの力』〜


移転プロジェクトインタビュー前編では、これからのオフィスのあり方について移転の背景やプロセスを踏まえて語りました。後編では、アート作品のディレクションを担当したWA!moto.氏の話を中心に、ユニオンテックがオフィスへの付加価値を“アート”とした経緯や思いについて、クリエイティブディレクター・赤枝泰明、設計デザイナー・中村麟太郎、萩田とともに振り返っていきます。

 


アートについて


―― 新オフィスは、アート作品と融合した賑やかな空間が印象的です。このアイデアが生まれた経緯を教えてください。
赤枝 「予算100万円」から方針転換をした時に、「何がユニオンテックらしいんだろう」「お客様にとって実際に見ることで価値のある体験とは何だろう」と話し合いをしたんですが、そのとき挙がったなかの一つがアートでした。最近だと、AIを筆頭にテクノロジーの進化が止まらない中で、それらを活かし、使いこなしていくためにも働き手にクリエイティビティ(創造性)が強く求められていますよね。そのあたりの“クリエイティビティの上がるオフィス”という提案ニーズが、社内でも大きくなってきていたんです。そこで、常に0から1を生み出し続ける存在である新進気鋭のアーティストさんとコラボをさせてもらいました。アート後進国の日本で、トライしてみる価値はあるとも思っていましたね。

―― そうして、 WA!moto.さんの作品と出会ったのですね。
赤枝
 新オフィスにアートを取り入れたいねという話になってから条件に合うようなアーティストさんや作品を探しはじめ、そこで見つけたのが、WA!moto.さんだったんです。MIYASHITA PARK(東京・渋谷)に置かれているWA!moto.さんの作品を見たことがあって「この方、知ってる!」という感じで。

―― ちなみに「条件に合うような作品」というと、どんなものなのでしょうか?
赤枝
 オフィスにおけるアートって、昔から企業理念をウォールアートにするといった平面での表現が一般的なんですが、それだけではなくてせっかくなら、オフィスの中にちゃんと存在する、インタラクト(交流)できるような立体物が理想だったんです。WA!moto.さんの作品がまさにというビジュアルで、惹かれました。

―― どのようにプロジェクトが始まったんですか?
WA!moto.
 最初は「オフィスに置くものを探しているんです」という感じでお話をいただいたと記憶していますが、僕自身、長くパブリックアート*をやっているのでなんとなくイメージが湧いて。「やるならオフィス全体でやったほうがきっと面白いですよ」という提案をさせていただきました。そうしたら乗り気になってくださって、前のめりでやり取りができたので、すごく楽しかったです。

※パブリックアート(Public_art):美術館やギャラリー以外の広場や道路や公園など公共的な空間(パブリックスペース)に設置される芸術作品を指す

赤枝 新オフィスは、青山以前のオフィスと比べるとはるかに広いので、アートもそれなりの数を入れたいなと思っていたんですが、僕らがアーティストさん一人ひとりと直接やり取りをして、全体感をコントロールするのは難しいだろうなと思っていて。そうしたら、WA!moto.さんから「ディレクションもできますよ」と言っていただいて、とても心強かったです。それに、紹介してくださる方の作品がカラフルですごくストリート感があって、しっかり渋谷っぽかったんです。もう、見せていただくものどれもいいなという気持ちでしたね。 

WA!moto. 美術館やギャラリーはアーティストの作品を見たい人が行く場所ですが、パブリックアートは人が生活したり働いたりする空間の中にあるものなので、そのアートがどういう役割でその場に存在しているのか、どういうコミュニケーションをとるために設計・設置されたのかが理解されないままだと、孤立してしまうことがあります。僕はそういうアートが生まれないよう、作家という立場で空間をディレクションすることもあるので、今回もそんなふうに関われたらいいなと思っていました。作品の雰囲気はもちろんですが、働いている方々の年齢層と同じ若いアーティストのアートを提案しています。あと、アートだけでなく広告のイラストレーションをやっている方も多いので、街で見かけて「あの人のイラストだ!」と刺激を受けたらいいなとも期待していますね。 

―― 複数のアートを同じ空間に集める場合、バランスをとるのが難しそうですが。
WA!moto.
 難しいというか、楽しかったですよ。ホワイトキューブの中で美しく飾られたアートも好きですけれど、すべてがそれである必要はないじゃないですか。普段働いているオフィスの中にポンポンポンッと現れたアートを、つまみ食いするような楽しみ方だってあっていい。ここにあるアートは、そんなふうに身近に感じてもらいたいものばかりです。もちろん雑に扱ってほしくはないですけれど、うさぎの(オブジェの)置き場所を変えてみたり、積み木を並べ替えたりして、楽しんでもらえたら嬉しいですね。 

―― また、このミーティングルームの壁もWA!moto.さんの作品なのだとか。
WA!moto.
 愛知・犬山遊園駅駅舎のパブリックアートを手掛けたときにも付けた、ミラーのシリーズです。この線自体はiPadで描いているんですが、使っているのが「ウレタンフォーム」という名前のペン先で、ボコボコと膨らむ特殊なインクを使ったペンの質感を元にしているんです。つまり、アナログっぽいペン先を使ってデジタルで描いた線を、現実の空間に持ってきているんですよね。それが面白いんじゃないかと思ったのがこのシリーズのはじまりです。なおかつ、ミラーを使うことで壁の圧迫感がなくなって、向こう側にもうひとつ世界ができる。空間に広がりが出ますし、イマジネーションもより一層膨らみそうですね。ミーティングで行き詰まったときパッと見たら気が紛れそうですし、ディスカッションも捗るんじゃないかなという思いもあります。

―― エントランスに関してはどんなふうにディレクションしたいと考えていましたか?
WA!moto. 打ち合わせの段階で「渋谷っぽさがほしい」、「スペースが広いから、そのぶん賑やかにしたい」、「ワオ!となるような驚きを与えたい」といった話を聞いて、moi.さんというアーティストさんが頭に浮かびました。moi.さんは、自身の個展会場に観客が自由に組み換えできるという積み木を置いていて、それが面白くて。このオフィスに置くにあたり、サイズを一気に大きくしてみたらどうだろう? と思い、今回提案をさせてもらいました。社員の方々が日替わりで組み替えたり、方向を変えたりするだけでもエントランスの表情が変わると思います。moi.さんにいただいたスケッチをもとに、うちのスタッフが3Dに起こして仕上げた完全新作です。 

サイドにあるタペストリーは、映画のスクリーンのような1枚絵をアクリルで描いている作家さんの作品で、絵と関係のない字幕を入れることで新しいストーリーを生み出すというシリーズです。今回は新しい見せ方をしたくて、帯の状態のまま単管に巻き付けて映画のフィルムのように見せました。間仕切りにもなるし、布の素材的に両面から見えるのもポイントです。

 

Photography Alfie Goodrich.

 

―― そして、 WA!moto.氏のうさぎもいますね。
WA!moto.
 上を見ているうさぎですね。昔から見上げている動物の作品を作っていて、うさぎのほかにおさるさんも居るんですが、明確な視線があることでその視線の先も彫刻の一部になるんですよ。エントランスに置いておけば、少し向きを変えるだけでタペストリーやネオンと対をなす作品になる。するとストーリーが生まれて、「あのうさぎが自分だったら」、「あのうさぎは今何を考えているんだろう」と、考えを巡らすこともできると思います。ぜひ、自由に遊んでもらいたいですね。 

―― なるほど。お話を聞いていると、従業員のイマジネーションをちゃんと刺激してくれそうなアートばかりですね。
WA!moto. ただ見るだけではなく、参加できますからね。ここに来るみなさんの日常の中にずっとあるものなので、通りかかるたびに移動させてみたり、仲間同士で「組み替えに行こうよ」と試してみたりするのもあり。うさぎがこのミーティングルームまで来てしまうのも面白いですね。 

中村 僕、しんどいときや帰る前に、よく積み木を入れ替えていますよ。社内に「動かしていいよ」というツールがあるだけで、気分転換になるんだなとそのたびに感じています。オフィスにアートがなかったら思いつかなかった発想も、きっとたくさん浮かんでいるんだろうなと。今後はもっと自由に遊べたら。フリーアドレスの会社なのに毎日同じ席から動かない人がいるので、その人が座るだろうデスクに朝一でうさぎを置いてみたいですね(笑)。

WA!moto. そうしてお互いに化学反応が起きたら、すごく面白いですよね。

 


コンセプト


―― 改めて、新オフィスとアートは親和性が高いですね。
赤枝 僕らは、社内外のいろんな個性や価値観と出会い、自分のクリエイティビティを発揮してものづくりをしています。その過程では、未知の価値観や、自分とは反対の価値観もあるかもしれませんが、受け入れて同じ方向に向かっていくことになる。そういうカルチャーの中に身を置いているので、アートのような人によって見え方、解釈の違う存在に常に触れられる空間では、自分たちのクリエイティビティを鍛えることができると思っています。いろんな人がいろんな解釈でうさぎや積み木の置き場所を変えると、「なぜこうしたのか?」、「自分はこっちがいいと思う」と議論に発展してコミュニケーションが生まれる。この、多様性を型にはめるのではなく、お互いが主張し、理解し合える空間は、ユニオンテックのアイデンティティに極めて近いと思っています。

そして、初めからあったわけではないんですが、このオフィスを作りながら、いつの間にか「NEW CHAOS」というコンセプトが言語化されていました。 

――「NEW CHAOS」とは、またインパクトのあるワードですね。どういった意味なのでしょうか?
赤枝
 オフィス移転メンバー全員、同じ方向を向いているのは間違いなかったんですが、長らくうまく言語化できていなかったんですよね。オフィスづくり終盤になってきた時に、改めて代表の大川を含めて、ユニオンテックらしさ、渋谷という場、アートとの化学反応、そういったものをひっくるめて突き詰めたら、ポン、と出てきたんです。「カオス」って多様なものがひしめき合い混沌としているようで、ひらめきとか、新しい何かをうみ出すパワーの集合体っていうイメージがあるんですよね。なんだかピッタリだなと。そもそも、6年前に作成した“ユニオンテック エレメント”というもので表現されている通り、ユニオンテックでは、多種多様なバックグラウンド、職種、価値観の人たちがお互いを尊重して働くことを大切にしている会社なんです。

Photography Alfie Goodrich.  

多様性を尊重するという思いを、たくさんの色の線や角度で表現したユニオンテックエレメントを使った造作壁

 

赤枝 そして、常に「トレンドを作ろう」「新しいものを生み出そう」とものづくりをしている企業なので、変に型にハマる必要はなくて。だから、カオスになるくらい多様で型破りなアイディアが集まって、それらを組み合わせると新しく魅力的なオンリーワンのオフィスになった。これって「NEW CHAOS(新しいカオス)」ってコンセプトがしっくりくるね、と。
このオフィスは、結果的に社員のみんながそれぞれアイディアやニュースを主張できるような空間に仕上がったので、これからこのオフィスで生まれるあらゆる主張が受け入れられるカルチャーをつくっていきたい。そして社員全員がカオスの中で自由に立ち回り、探究心や好奇心を刺激され、相互作用を続けながら自分なりに進化していけるようにと願っていますね。 

 


これから


―― 現在はリアルメディアとしてもオフィスを活用している最中かと思います。今後、このリアルメディアを介してどのような変化を起こしていきたいですか?
萩田 僕自身アートに携わってきた経験が少ないので、うまいことは言えないかもしれませんが、僕が入社した頃のユニオンテックのオフィスは、いわゆる雑居ビルにあるような一般的な会社だったんですよ。だけどデザイナーが加わり、他にもいろいろな職種の人がどんどん増えてきて、初台の小洒落たオフィスに移転して、今回この道玄坂に移るまでずっと変遷を見てきて、今回はもう「こんなことするんだ!?」という驚きがありますよね。エントランス入ったらいきなり巨大なネオンですから。玄関開けたら2分でご飯的な。 

赤枝 ニュアンスだけじゃん(笑)。

萩田 (笑)。僕自身、オフィスをつくってびっくりしているし、すごいオフィスだなと思っています。来客する人から見ても、カルチャーショックを受けるんじゃないかなと。企業さんによっては合わない場合もあるかもしれません。けど、その一方で「こういうオフィスにしたい」という企業さんもきっといると思うんです。そんな人達に向けた発想や提案が、このオフィスには詰まっている。そうして、ユニオンテックが発信元になれば、次のお仕事につながると思いますね。

中村 僕は、シンプルにこういう空間が増えたら面白いだろうなと思っています。オフィスに限らず商空間や公園などでもそうですけど、やっぱりどこでもちょっと飛んだ発想が注目されて、人が集まる場所になるじゃないですか。僕もデザイナーをしている以上、自分がデザインした場所に人が集まって欲しいし、注目してほしいなという思いがあるので、このリアルメディアを通してそういった場所が増えていくといいなと思っています。規模の大きな話かもしれませんが、そうしたら日本がどんどん面白くなると思うんですよね。

赤枝 それこそ、この前の日曜に大川が子どもを連れて新オフィスを見て回ったらしいんですけど、未来を担う子どもたちにはこうやって、もっとアートに触れてほしいですね。子どもや若い世代にゼロイチで何かを作るというクリエイティブな発想を芽生えさせるのも、こういったリアルメディア、伝えたいことを内包した空間だと思います。それに、このオフィスを通じて顧客とアーティストのハブとなれたら良いなとも思います。アート後進国である日本を後押しするように、クリエイティビティを刺激する空間つくりで貢献していきたいですね。 

 

 

<<インタビュー前編『オフィス投資革命』はこちら

Interview Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto

 

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