進化するワークスタイル、ユニオンテックが主導する次世代オフィス移転の裏側 〜前編『オフィス投資革命』〜 | 社内レポート | 採用情報 | ユニオンテック株式会社


進化するワークスタイル、ユニオンテックが主導する次世代オフィス移転の裏側

〜前編『オフィス投資革命』〜


2024年1月、今後のさらなる事業拡大に伴う人員増加を見据え、渋谷・道玄坂に本社を移転したユニオンテック。コロナ禍を経て、ワークスタイルが大きく進化したことで生まれた、“オフィスに出社すること”にどのような価値を置くべきか?というオフィスの「在り方」そのものへの問いに対して、オフィスデザイン企業だからこそ向き合い続けてきた答えを、この移転に込めています。

これからのオフィスをどのようにアップデートしていくかの進路を見据え、本オフィス移転プロジェクトをどう進めてきたのか、クリエイティブディレクターを担当したワークスペースプロデュース事業部の事業部長・赤枝泰明と、設計を担当した設計デザイナー・中村麟太郎、施工を担当した萩田一也、そして今回のオフィス移転の主役でもあるアート作品のディレクションを担当したWA!moto.氏に話を伺いました。

内装デザイン紹介>>【プレスリリース】アートに囲まれるクリエイティブ基地 渋谷に出現!本社移転のお知らせ

 


背景


―― ユニオンテックはこれまで5回本社を移転しているそうが、その変遷を教えてください。

赤枝 最初は、稲城市に建てた自社ビルです。最大30名ほどの従業員がそこで働いていて、僕や当PJの施工管理、萩田くんもこの頃に入社しています。それからしばらく経って、本社から少し離れたところにデザイナーチームやフロントメンバーが働くデザインオフィスを作り、拠点を2つに分けていた時期もありました。そこから人員が急激に増え、90人くらいになった頃に3箇所目のオフィスとなる初台に移り、その後分社化などの紆余曲折を経て北青山前へ。そこで約2年半過ごし、今のオフィスである渋谷に移転しました。

―― 青山から渋谷に移転するにあたって、どのようにプロジェクトが動き始めたのでしょうか?
赤枝 2023年の1月から4月くらいまでは、代表の大川とともに物件探しをしていました。渋谷のほかにも六本木、虎ノ門、青山一丁目、恵比寿、代官山などいろんなエリアの物件を見て回りましたね。立地を選ぶ基準はいろいろあったんですが、虎ノ門の物件を見に行った際に駅を降りて地上に上がるとき、「赤枝くん、スーツばっかりだね」と大川が言ったんです。要は、ピシッとしたビジネスマンの中に僕らがいるイメージがわかなかったんですよね。こういった直感を大切にしながら、いくら物件が良かったとしても、物件周辺の雰囲気次第でいちから探し直すこともありました。

―― そんななかで、渋谷に新たに建った複合ビル「道玄坂通」に決めた理由は何だったのでしょう。
赤枝
 端的に言うと、この街が持つ魅力とビジョンに共鳴したからなんですが、多様性を重んじているユニオンテックとしては、渋谷のあらゆる人々が集まって、カオス然とした非常にごちゃごちゃしているところが、直感的に自分たちに合っている気がするんですよ。

―― そういえば、以前(代表取締役社長の)大川さんにインタビューをしたとき、窓の外に広がるディスカウントショップやアパレルのビルを見て、「これがユニオンテックっぽいよね」と言っていました。
赤枝
 そうそう、ギラギラ、ごちゃごちゃ。世界一有名な交差点があって、さまざまな文化が交差する街で、エネルギッシュな街、若者の街、ITの街、アートが盛んな街、歓楽街、いろいろな顔があって、変化と進化を続けている未来的な街。とにかく刺激的で魅力的な環境です。 トレンドの発信地ってところも若い衆が喜びそうですし、ビルも新築できれいだしと、いろんな条件が合致してここに決めました。

―― では、いよいよ新オフィスの企画段階に入りますね。はじめは「予算100万円でどうにかしてくれ」という話からはじまったとか。オフィス規模の設計・施工では、もはや何もできない金額では?
赤枝
 外苑前から渋谷の新オフィスまで物を運んだら終わり、くらいの額ですね。とはいえ、大川としては「あくまでも“コストをかけない方針”でチャレンジしてみたら?」という意味合いだったでしょうし、お金をかけるなら投資として扱って、ROIを高める計画にしなさいよ、と思っていたはずなんです。だから、「100万円以内で」と考えすぎるのではなく、「まずはお金をかけずにやってみましょう」というスタンスで進めていくことになりました。なので、デザインを担当した中村には、「まともなやり方じゃできないよね?」、「まともじゃないやり方で考えてみて」とは伝えました。 

―― 中村さんはその話を聞いてどう感じましたか?
中村
 ひとまず先輩デザイナーの過去の作品を参考にしながら考えてみて、赤枝さんにチェックしてもらうことを繰り返していたんですけど、「まだオフィスだな〜」「作るのはオフィスじゃなくてもいい」と何度もフィードバックを受けた記憶があります。

赤枝 例えば、床のカーペットを剥がして積み上げたらテーブルになるじゃないですか? そういうレベルの発想を持ってほしかったんですよね。

―― 施工管理としてはどのような工夫がありましたか? 腕の見せ所ですよね。
萩田
 はじめに聞いたときは無理じゃない?って正直思いましたが、施工管理チーム3人で何度も話し合いを重ねてプロジェクトに挑みました。材料を何から何に変えればコストを抑えられるかなど、パーツで見れば数千円、数百円安くなる程度の材料でも、オフィス全体の分が積み重なれば大きなコストカットにつながりますから。それに、前オフィスの材料をどれだけ再利用できるかも重要なポイントでしたね。このミーティングルームの建具(ドア)は、青山オフィスからの既存利用。新たに買うとなると15〜20万円かかりますが、今回は塗装費用の2万円だけで済みました。中村くんも一生懸命予算100万に届くよう何度もプラン提案してくれましたね。デザインとコストのキャッチボールは、slack上でも対面でも何度も話し合いを重ねていて、実際そのやり取りは300回じゃきかないと思います(笑)。

赤枝 ただ、なるべくお金をかけないという方針でデザインは仕上がったんですけど、「なるべく安く」という曖昧なコスト感で臨んだ結果、プラン自体があまり魅力的なものにはなりませんでした。このままのデザインでオフィスを作ったら中途半端というか、なんとなくおしゃれなだけ内装で“ただのコスト”になってしまうなと。

―― それだと、意味がないと?
赤枝
 そうです。結論、誰もがあっと驚くようなローコストを達成できないのなら、単なるコストカットチャレンジよりも今回のオフィス移転を“投資”として再定義する方が良いと判断し、そこでコンセプトがガラッと変わりました。

 


付加価値への投資 


―― 改めて、オフィス投資の考え方について教えてください。
赤枝 まず、コロナ禍を経て「オフィスはもう要らない」という考えがトレンドの時期があったんですが、コロナ収束後、フルリモートワークが合う会社、合わない会社というのが明確になってきたんです。同時に、出社と一口に言っても社内外のさまざまなスペースで働くスタイルも主流になりつつあって、今までと同じオフィスである必要性はなくなりました。

―― たくさんの選択肢ができたからこそ、「オフィス」が持つ付加価値が非常に重要になったんですね。
赤枝
 そうなんです。なので、経営者はオフィスにどのような付加価値を持たせるかを選び、その付加価値に投資します。イノベーション促進に投資するなら、ただデスクと椅子を並べて働くだけではなく、自由にコミュニケーションを取ったり、集中ブースで作業に没頭したりできる働き方が良いですし、生産性の向上に投資するなら業務効率の上がる動線づくりをする。それが、オフィスに“投資”しているということなんですよ。さらに、先ほども言いましたけど、オフィスを通して会社の理念を伝えることで、社員のモチベーションが上がり、仕事にコミットしやすくなり、売り上げが上がるという好循環を生むことも可能なんです。 

―― オフィスのデザインにメッセージやコンセプトが組み込まれているパターンも多いですもんね。 
赤枝 そう、オフィスってメディア(媒体)みたいなものなんです。企業が、社員やお客様、取引先などに対して思いを伝えるためのリアルな空間というメディア。 TV、ラジオ、交通広告、ホームページ、SNSなどいろいろなメディアがありますが、その中でもオフィスは関係者じゃないと入れない、見ず知らずの人は入れないプライベートで、特別なメディアなんです。なので、ユニオンテック新オフィスも、コロナ禍を経て辿り着いたこの「リアルメディア」として設計しようと方向性が定まりました。

―― メディアとして扱うと、投資対効果が計測しやすくなりそうですね。
赤枝
 そうですね。なので、本来オフィスがターゲットにしているものは社員なんですが、ユニオンテックの新オフィスに関してはお客様に向いています。働く場所という前提はありますが、「お客様がここに来たときにどんな体験ができるか」は、特に重きをおいて考えましたね。

―― では、リアルメディアにするためにこだわった部分を教えてください。
中村
 デザインに落とし込む際は、入口を抜けた瞬間のエントランスの見え方やオフィス内ツアーがしやすい動線など、社外の方々に向けたデザインをしています。うちの会社ではCX(体験)設計と言っているんですが、このオフィスに来た人がどんな景色を見て、どんな感情を抱くのかを考えて設計したつもりです。なおかつ、日々働く社員がこの空間に慣れてしまわないよう、変化するコンテンツや変化するレイアウトを取り入れました。

萩田 内装工事では、付加価値への“投資”を考えたコスト管理が求められました。予算を圧縮できるところはとにかく圧縮するんだけど、そのぶん付加価値がありそうなものはしっかりお金を使いたいという話を聞いていたので、協力会社さんにはなるべく協力してもらいましたね。

―― ここでいうユニオンテックにとっての付加価値というのは、具体的に何なのでしょうか?
萩田 アートですね。お客様に対して、ユニオンテックの職人企業としてのルーツや、クリエイティブを思う存分お伝えすることができるアートです。建材にお金を使いすぎてアートの予算が減ってしまうと、ここに来たお客さんの感動が減ってしまうので、削れるところは削る、を徹底していました。それでも、1回目の予算提出では、アートを含めると1000万円以上予算をオーバーしてしまっていたのでハラハラしていました(笑)。最終的には坪単価20万円くらいまで抑えた上で、アートにしっかりと予算を配分できたのでよかったです。

 

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Interview Photo=Yasuharu Hikawa Interview=Mayuge Matsumoto

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