《デザイナーズエッジ》参加者の声 #01 | 社内レポート | 採用情報 | ユニオンテック株式会社

デザイナーズインタビュー
株式会社スーパースーパー所属
COO / インテリアデザイナー 
清水佑哉 氏

デザインの最前線で活躍するプロフェッショナルが集い、アイデアを共有し合うイベント「デザイナーズエッジ」。本イベントでは、異なるジャンルのデザイナーが刺激を受け合い、新たな視点を獲得する貴重な場となっています。今回は、実際にイベントに参加したデザイナーの皆さんに、その体験や気づきを伺いました。
どのようなインスピレーションを得たのか、また、それが自身の仕事や考え方にどう影響を与えたのか――「デザイナーズエッジ」が生み出す価値を、リアルな声とともにお届けします。


 自分の手で家を建てる、4代つづく大工一家

 ーーー今のお仕事を選ぶきっかけになったことはありますか?

「僕の家族は、4代続く大工一家なんです。」

デザイナーへの道を歩むきっかけを振り返る清水さんが最初に語ったのは、家族の話だった。曽祖父から大工の家系で、自分の家を建てるのは当たり前。さらに、自宅周辺の民家も父や祖父が建てたもので、幼少期には、その姿が大きな憧れだったという。

「自分の家は父が建てて、祖父の家は祖父が建てて…その流れがずっと続いてきたんです。僕も小さい頃から、大工ってかっこいいなって、家を建てることに興味を持っていました。」

ーーーどのような経緯で実際にデザイナーを目指し始めましたか?

「高校はそこそこの進学校に進んだのですが、教師との相性が悪く、成績がどんどん下がってしまいました。入学時から偏差値が20ポイント以上も落ちてしまい……(笑)。その頃は"このままだと行ける大学がほとんどない"という現実に直面し、ただただ焦っていました。建築家になりたいという夢はあったものの、自分に何ができるのかまったく分からなくて悩んでいました。そんな時、姉が持っていた『ハチミツとクローバー』を読んでいて、主人公が武蔵野美術大学の建築学科の学生だと知り、美大にも建築学科があるんだ!と、気づいたんです。それがきっかけで、高校3年生の秋、一念発起して美大進学を決めました。」

「ただ、決めたはいいものの、それまで絵の専門的な勉強なんて一度もしたことがなく、予備校に通い始めるのも遅かった。周りとの差に焦って、泣いたこともありました。」

そんな中、周囲の期待やプレッシャーを背負いながらも地道な努力が功を奏して希望する大学すべてに合格。
清水さんは、多摩美術大学に入学を決め念願の上京…と思いきや、鑓水という土地柄もありそのイメージのギャップに驚いたそうです。

「東京って聞いてたのに、あれ?田舎じゃん、みたいな(笑)。」

大学での濃密な経験が生んだキャリア

ーーー大学での学びや、卒業後のキャリアを聞かせてください。

「大学生活の中で、大きな転機となったのはサークル活動や芸術祭への関わりでした。実は、入学式の翌日に今の会社(スーパースーパー)の代表である甲斐と出会ったんです。そこから一緒に新歓で遊び回ったり、フリーペーパーを作ったり、芸術祭の実行委員を務めたりと、本当にさまざまな経験を積みました。製作系の授業は、芸祭の閑散期である春先と冬は真面目に取り組んでいました(笑)。卒業制作では《高取研究室》を選び、先生とともに神道の研究を進め、「地鎮祭」の新たな形を提案するプロジェクトに取り組みました。色々な文献を読むと、神様って実は新しいもの好きらしいんです。江戸時代から続く形式が悪いわけではないけれど、もっと今の時代に合った形があってもいいのではないか、そんな考えから制作に取り組みました。」

後に、清水さんはその製作がきっかけで高取先生の事務所に就職することができました。

「そこで2年ほど働いて、前述した甲斐と共にSUPER SUPER inc.を立ち上げ、現在のキャリアに至ります。」

ーーー現在の仕事での強みはありますか?

「インテリアデザインやインスタレーションの設計をメインに、ディレクション業務や役員としての経営にも携わっています。社内にはWeb、空間、映像、グラフィックの専門チームがあり、お客様の課題に対して多角的なアプローチができるため、総合力の高い提案が可能です。」

「例えば、私が担当する展示ブースの制作では、ブースデザインにとどまらず、LPサイトの制作や説明用冊子の作成まで、一貫したアプローチができることが強みです。また、さまざまなジャンルの空間デザインにも柔軟に対応できるため、お客様のニーズを的確に反映し、最適な形で空間を創り上げることを大切にしています。」

ーーー目指している賞などがあれば教えてください。

「最近は応募もあまりしていないのでなんともですが。前回のDesigners Edgeのお話を聞いて、海外のアワードにも積極的に応募していきたいと思いました。 誰でも知っているグッドデザイン賞はいつか取りたいですね。」

デザインとは何か

ーーーデザインとは、清水さんにとって何ですか?

「デザインとは、人を幸せにするものだと思います。設計を通じて関わった人が笑顔になることが、何よりのやりがいです。飲食店や美容室、展示ブースなどさまざまな空間を手掛ける中で、自分が大切にしているのはクライアントとの対話です。お客さんのアイデンティティを表現しつつ、そのプロセスで共に新しい価値観に気づき、生み出していくことに面白さを感じています。自主制作も楽しいですが、クライアントと一緒に作り上げることで初めて「デザイン」になるのではないかと思っています。」

また、清水さんが注目するのは、完成した後にどんなコミュニケーションが生まれるかという点。

「デザインは、ただ形を作るだけじゃなくて、その後に人がどう使って、どう感じて、どう話題にしていくかまで含まれていると思うんです。見た目や機能性だけじゃなく、使う人の心に何かが残って、記憶に刻まれることが大事だと考えています。特に空間デザインでは、訪れた人が"なんか心地いい"とか"おもしろい!"って感じてくれることで、その体験が誰かに語られて、新しい価値が生まれと思います。なので、クライアントの意図を大事にしつつ、その先の人々の体験や反応まで想像しながらデザインするように心がけています。」

目指す理想像とこれから

ーーー憧れの方を教えてください

「高取邦和さんです。自分が卒業後にお世話になった『高取空間計画』の主宰で、僕が入所する前には、カルバン・クラインの全店舗展開や4℃のブランド戦略から店舗展開などを手がけられてきました。現在も恵比寿にある「bar 松虎」は伝説のバーとして語り継がれており、語り尽くせないほどの逸話を持つ方でした。残念ながら高取さんはすでに亡くなられましたが、自分にとってデザインのいろはを教えてくれた、かけがえのない存在です。高取さんとの雑談では、三宅一生さんや田中一光さん、倉俣史朗さんとの仕事の話がよく出てきました。そんな話を聞くうちに、「自分も次の世代に憧れられるような世代になりたい」と強く思うようになったんです。デザインに向き合う姿勢や空間への独自の視点など、今の自分の礎になっている多くのことを高取さんから学びました。」

 

デザイナーズエッジを振り返って

ーーー弊社のイベントである「デザイナーズエッジ」に参加してみた感想をお聞かせください。

「まだ一度しか参加できていませんが、バリバリ活躍されている方々の話を聞くと、やはりやる気がみなぎりますね。自分が普段扱っている規模感やジャンルとは違う話を聞くことで、新しい視点や考え方に触れられるのが面白いです。シンプルに、先駆者のお話はいつでも学びが多いと感じます。特に印象に残っているのは、前回の井上さんのミスタードーナツへの逆提案の話です。あの話には本当にしびれました。松永真さんのスコッティの逆提案(※)を思い起こさせるようなアイデアで、クライアントから提示された制約内で作るだけではなく、一緒に新しいものを生み出していくという視点の大切さを改めて感じました。自分の仕事にも取り入れたいと思える、刺激的な学びでした。」

※1980年代、ティッシュ箱は派手で目立つデザインが主流でした。依頼主の「目立つデザインを」という要望に対し、松永真は「生活空間に調和するデザインこそ必要ではないか」と再考。装飾を徹底的に排除した白無地のデザインを提案しました。この提案は市場の常識を覆し、ティッシュ箱を「日常の一部」として再定義するものでした。初めは反発を受けながらも、「暮らしを豊かにする」という視点を貫いた結果、長く愛される商品に進化。デザインの本質的価値を示す象徴的な事例。

ーーー最後に、当イベント「デザイナーズエッジ」に今後期待することがあれば教えてください。

「面白くて意外性のある人との対談セッションを試してみるのも良いんじゃないかと思いました。例えば、ラッパーでありクリエイティブディレクターでもあるTaiTanさんがホストを務めるラジオ番組『流通空論』では、異なる分野の人同士が対話することで、話がどんどん深まり、新しい発見が生まれるのを感じました。特に、KOKUYOの黒田英邦さんがゲストとして出演した回は、とても印象的でした。デザイナーはデザインのプロですが、必ずしも"話すこと"が得意とは限りません。だからこそ、ホストが間に入ることで、彼らの本音や魅力をより引き出せるのではないかと思います。異分野同士の掛け合わせは、新しい視点や価値観を生み出す可能性があるので、挑戦してみる価値はあるはずです。」

「このイベントの魅力は、何と言っても現役デザイナーの「生の声」を直接聞けるところにあると思います。もちろん、文章や本もいいですが、実際に声で伝わる体験はすぐに感じられるもの。回を重ねていけばどんどん磨き込まれて価値が上がると思うので、これからも頑張ってください!」

右から:清水氏、デザイナーズエッジ担当者 松森


<参加者プロフィール>

デザイナーズインタビュー
株式会社スーパースーパー所属
COO / インテリアデザイナー

清水佑哉 氏

大学の同期と立ち上げた、Web、空間、映像、グラフィックと様々なプロフェッショナルが在籍するデザインカンパニー「スーパースーパー」にて10年目。飲食店・物販などの店舗設計やイベント空間やブース設計などを手がける。先端技術を使用した空間体験計画や、コミュニケーションを中心に据えた情緒的な空間計画を得意としている。



《アワード・メディア掲載実績》 

第4版 コンパクト建築設計資料集成 18年ぶりの全面改訂
商店建築特別号 NEW STANDARD OFFICE 「SUPER SUPER OFFICE」
商店建築2019年10月号 「SUPER SUPER OFFICE」
JID AWARD 2018 NEXTAGE部門 部門賞
商店建築2018年5月号 「源覚寺 小石川墓陵」
JID AWARD 2017 NEXTAGE部門 部門賞

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